不良精神科医が考えていること

30代精神科医が、匿名でしか言えないことをつらつらと書きます

医師の給料の調べ方

と言っても、必ず調べられる訳じゃないですよ、もちろん。

普段かかってる病院の医者がいくら給料をもらってるのか、気になりますよね。
病院のホームページで公開されてればいいんですが、もちろん、そんなところほとんどないです。

中にはこんな風に公開しているところもありますが……。

www.chiba-easthp.jp
10年目で900万かぁ。

まぁこれは時間外なんかの手当抜きでの額みたいだから、こんなもんですかね。
それより、このリンクから辿れる国立病院機構のパンフレットの方が気になる。
医師平均1490万だと……?
国立病院機構に務めてたこともあったけど、これは真っ赤な嘘では……。それとも、他の科の方々はそんなに残業してるのか……?

こんな風に公表されていないところの給料は、医師転職サイトを見ると調べられる事もあります。

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医師の給料の話

たぶん多くの人が気になってるところじゃないですかね。

「医者は金持ち」「勤務医は意外と貧乏」

いろいろ言われてますよね。
金持ちと貧乏の線引は人によって違うとは思いますが。

記憶力さえあれば医学部に入れて、あとは大した才能がなくとも、20代のうちに年収は1000万を超える。
平均年収400万円台と考えれば、十分金持ちかもしれないですね。
僕はそうは思いませんが……。
国立医学部にさえ入れれば、コスパはいいと思いますよ。僕みたいに才能のない人間でも、そこそこの暮らしはできてますしね。

たまに、「医学部は金持ちの子供しかいけない」って言ってる人がいますけど、アホだなぁと思います。無知というか。
私立の医学部はその通りと思います。卒業までに数千万はかかりますからね。
でも国公立の医学部なら、授業料は他の学部と共通ですよ。
大学法人化で若干の差はあるけど、年間50~55万くらい。6年通っても300~350万くらいですよ。
教科書は確かに高いけど、年間何十冊も買う訳じゃないし、図書館で借りてもいい訳だし、誤差ですよ。

その後年収1000万以上が保証されてると考えれば、半端ないコスパだと思いますけどね。

ちなみに僕は30歳の時、年収1300万でした。
周りの平均よりは高かったですね。
精神科で時間外の拘束が全くなく、バイトし放題なのが大きいです。
年間100日くらい当直してました。そのうち30日は夜間1~2回病棟からのコールで起こされる当直、残り70日は完全寝当直でしたけど。
※寝当直:緊急対応のために待機している当直。何も起こらなければ、ただ当直室で寝てるだけ。
寝当直のバイトが多いのも、精神科の魅力ですかね。
他の科の先生でもいいんだけど、意外と精神科病院の当直って他の科の先生たちはやりたがらないんですよね。イメージですかね。割はいいのにね。
月1回週末のバイトをすれば、年収で100~200万は簡単に上がりますからね。

平日の仕事も、当直以外は9-17時で定時で帰れて、充実してましたね。

でも、精神科になる事はあまり勧めませんよ。
ベテランの年代になっても給料は頭打ちだし、最近の国の方針をみてると、割と真っ先に精神科の保険点数は削られていきそうです。あまり未来はなさそうですね。

psychiatrist.hateblo.jp

医師の就職

※※
医師以外の人に向けた話です。
医師になってからの専門的キャリアの話ではないので、あしからず……。
しかも若手までしかわかりません。なぜなら僕がまだ若手だからです。
※※

医師以外の友人によく聞かれます。
「医者ってどういう風に就職するの?」と。
実際にこの業界にいると割りと単純な話なんですが、確かに外からはわかりにくいかもしれません。

  • 概要
    • 1.大学医局の奴隷パターン
    • 2.フリー医師パターン
    • 3.バイト医師パターン
    • 4.その他
  •  1.大学医局の奴隷パターン
  • 2.フリー医師パターン
  • 3.バイト医師パターン

 

概要

 医師としてのあり方には、数パターンあります。
まずは大体のパターンと、それぞれを簡単に説明します。
この前に”初期臨床研修医”というのをしないといけないんですが、これについてはまたの機会に。
大学6年間→初期臨床研修医2年間→以下の各パターン、という感じです。

1.大学医局の奴隷パターン

一番多いパターンです。僕もこれです。
”大学医局”という”派遣会社”に所属して、各病院に派遣されます。人事権は大学医局が握っていて、大学教授や医局長に言われるがままに職場を転々とします。
30代前半で年収は700~1200万くらいでしょうか。

こんな感じ。頑張って図を作りました。

f:id:kiat_ps:20170218115952j:plain

2.フリー医師パターン

 医局には所属せず、自分で就職先を探すパターンです。
会社員のように自分で就職活動をして、面接を受けて、就職します。
年収は就職先によりますが、大学医局人事よりは高くて、30代前半で1000~1500万くらいじゃないですかね。

3.バイト医師パターン

非常勤のアルバイトばかりをやっている人たちです。
仕事の融通は効きませんが、時給換算では一番高いと思います。
仕事すればする程稼げるので、頑張ればすぐに2000万に届きます。

4.その他

他にもいろいろあります。
行政とか、検診専門の人たちとか、研究とか……。
その辺まで書くとキリがないので、割愛で。。。

次は、それぞれ詳しく説明してみます。

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なぜ精神科医になったのか

大学に入って驚いた事があります。
皆、志が高いんですよ。
飲み会でも、地域医療とか、救急医療について結構熱く語る訳です。
酔っ払ってもそうやって話すから、きっと本心だったんだろうなぁ。

僕はと言うと、特に医学部志望だった訳でもなく、諸般の事情でそのように仕向けられ、幸いにも人より若干記憶力が良かったようで、地方国立医学部に滑り込みました。

そんな感じなので周りと若干の温度差を感じつつ、6年間を過ごしました。
と言っても、同じ学年で100人前後はいたので、僕と同じような考え方を持った者もいて、自然とそういうグループで集まりました。
そんな彼らが今どうなっているかと言うと、僕と同じく精神科に進んだ奴や、美容形成に進んだ奴、怪しげなクリニックの雇われ院長をしている奴、麻酔科に進んだ奴なんかがいます。
まぁ、皆同じような事を考えてるんでしょうね。

僕は、もちろん精神医学に興味がありました。それは事実です。
未だ解明されていない部分も多く、他の身体疾患のように画像診断や、何かしらの基準値を持った検査で診断できる訳じゃありません。ほとんどが”操作的診断基準”ってやつです。操作的診断基準については、今後書くこともあるかもしれません。
なぜ人は精神疾患で別人のようになってしまうのか、そういうところにもロマンを感じますね。

こういう、知的興味が半分。

もう半分はやっぱりワークライフバランスですよ。
医師は確かに平均年収よりずっと高い収入が得られるんですが、決して金持ちではありません。
これは重要な事です。
あえてきつい言い方をしますが、平均年収付近のコミュニティで生活している人なら、医師の年収1500万円前後というのは、かなりの金持ちと思われるかもしれません。
ただ、月並みではありますが、手取りにするとかなり減りますし、平均より年収が高い分、ついつい生活水準も上がってしまいがちです。
医師の年収で、平均年収のような生活をしていれば、当然アホみたいに金は貯まるでしょう。
でも人間、そうはいかないんですよ。
この辺の話は長くなるのでこの辺で……。

とにかく、そこまで金持ちじゃないのに、あんなに昼夜問わず働かせられる医師は異常だと言う事です。
それを何も考えずに受け入れてる医師はただのアホです。(※崇高な志を持った医師はもちろん除く)

昔の偉い医師の言葉にこんなのがあります。
「医師はそれを志した時点で、その体は自らのものではなく、病める人のためのものだ」

僕の一番嫌いな言葉です。

医師だろうがなんだろうが、自分の人生が第一ですよ。
精神科は、その辺りのバランスが優れていました。

もちろん、診療に最大限の努力はしていますよ。仕事ですから。
でも、時間外労働は基本的にしません。時間内に仕事を終わらせるからです。
時間内に終わらせられるのも、精神科だからだと思いますよ。内科や外科では、本人の能力がどんなに高くても、難しい場合もあるでしょう。

この辺の話も、キリがないのでこの辺で……。

というような感じで、あくまで仕事として精神科医をやっています。
僕にとってのワークライフバランス、そして知的興味がいい具合にマッチしたのが、精神科だったのです。
そんなこんなで、精神科やその他医師のこと、他にも身の回りのことをいろいろと思いつくままに書いていきます。
職場では言えないようなこと、友人の前でも言えないようなことも、この匿名の場で吐き出すことで僕のストレスコーピングにしたいですね。



誤解のないように言っておくと、もちろん診療のために常に勉強しているし、仕事の時は全力ですよ。
給料貰っている以上、僕の最大限を発揮しないといけませんからね。
幸いな事に、評判も悪くはないようです。