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不良精神科医が考えていること

30代精神科医が、匿名でしか言えないことをつらつらと書きます

医師の就職

※※
医師以外の人に向けた話です。
医師になってからの専門的キャリアの話ではないので、あしからず……。
しかも若手までしかわかりません。なぜなら僕がまだ若手だからです。
※※

医師以外の友人によく聞かれます。
「医者ってどういう風に就職するの?」と。
実際にこの業界にいると割りと単純な話なんですが、確かに外からはわかりにくいかもしれません。

 

概要

 医師としてのあり方には、数パターンあります。
まずは大体のパターンと、それぞれを簡単に説明します。
この前に”初期臨床研修医”というのをしないといけないんですが、これについてはまたの機会に。
大学6年間→初期臨床研修医2年間→以下の各パターン、という感じです。

1.大学医局の奴隷パターン

一番多いパターンです。僕もこれです。
”大学医局”という”派遣会社”に所属して、各病院に派遣されます。人事権は大学医局が握っていて、大学教授や医局長に言われるがままに職場を転々とします。
30代前半で年収は700~1200万くらいでしょうか。

こんな感じ。頑張って図を作りました。

f:id:kiat_ps:20170218115952j:plain

2.フリー医師パターン

 医局には所属せず、自分で就職先を探すパターンです。
会社員のように自分で就職活動をして、面接を受けて、就職します。
年収は就職先によりますが、大学医局人事よりは高くて、30代前半で1000~1500万くらいじゃないですかね。

3.バイト医師パターン

非常勤のアルバイトばかりをやっている人たちです。
仕事の融通は効きませんが、時給換算では一番高いと思います。
仕事すればする程稼げるので、頑張ればすぐに2000万に届きます。

4.その他

他にもいろいろあります。
行政とか、検診専門の人たちとか、研究とか……。
その辺まで書くとキリがないので、割愛で。。。

次は、それぞれ詳しく説明してみます。

 1.大学医局の奴隷パターン

 大学はもちろん研究機関な訳ですが、医師の世界では医局っていうのは派遣会社みたいなもんなんですよ。
さっき出した図ですが

f:id:kiat_ps:20170218115952j:plain

こんな感じで、医局に所属する医師を、医局が各病院に派遣する、という形です。
ちなみに、卒業大学の医局に入らないといけない、という訳ではないです。A大学を卒業したけど、医局はB大学に入る、という事も可能です。学歴ロンダリングみたいですね。

医師、医局、各病院のメリットデメリットが噛み合って、成立しています。各々のメリットデメリットをまとめてみました。

  メリット デメリット
医師 ・必ず就職できる。
・(やりたい人は)研究ができる。
・ある程度の公平性が保たれる(事もある)。きつい病院の次は、ゆったりとした病院に勤務、など。
・キャリアになるような有名病院で働ける。
・人脈ができる。(←重要)
・後ろ盾ができる。
・自分で自分をアピールしなくても、医局に所属している事がある程度のレベルの証明になる(事もある)。
・大学独自の研究会など、勉強の機会は多い。
・嫌な人事でも、従わなければならない。きつい病院、田舎の病院など。たとえ好条件の職場にいても、医局に言われれば移らないといけない。
・給料は安め。
・普通では医師が集まらないようなハードな条件の病院に派遣される事もある。
・教授を頂点としたピラミッド構造に組み込まれる。
医局 ・研究人員を確保できる。
・各病院からのバックマージンがある(事もある)。
・人事決定がめんどくさい。
・所属医師が何か問題を起こしたら、医局全体の責任問題となる可能性がある。
各病院 ・安定して医師を確保できる。(地方の病院などは医師が集まりにくい。)
・医局内でやっていけている医師だから、極端におかしな医師は少ない。(←たぶん重要。変な医師は多いです。)
・医局に頭が上がらなくなる。
・医局にお布施を払わないといけない(事もある)。

自分が医師の立場なので、医師の内容が多めです。

”関連病院”という言葉を聞いた事があるかもしれません。(昔はジッツと呼んでいた事もあります。)
病院の経営自体は大学と関係はないけど、その病院のその科の人事権は大学が握っている、という状態です。内科はA大学、外科はB大学、という状態もあり得ます。
このような状態だと、大学医局員でないと、その病院ではほぼ働けません。有名病院はほぼどこかの大学の関連病院である事が多いので、有名病院で働きたいならば力の強い大学に所属する事を求められる訳です。

もちろん、例外もあって、大学の関連病院だけどフリーの医者も受け入れている病院や、複数の大学の関連病院になっているところもあります。

あとは人脈も大事ですね。医者の世界も、結局は人脈がものを言う側面があるので……。
もし開業を考えているなら、その地域の医師との交流は大事ですしね。

こういうメリットがあるから、代わりに安い給料で働けよ、というのが大学医局です。
トップに気に入られれば好条件の人事になりますが、これはどの世界でも一緒ですね。

大学病院で医師として働く、というのももちろんルートとしてあります。
将来教授を目指したい人は、大学病院で働いて出世競争に勝ち抜いて行く訳です。

2.フリー医師パターン

平成16年に今の研修医制度が始める前は、大学卒業後は一部の例外を除く全員が卒業大学の医局に所属していました。
医局の元で研修を行って、各専門の医師として育っていった訳ですね。
それが今の制度が始まって、必ずしも卒業大学の医局に入らなくてもいいようになりました。それから増えてきたのが、このフリー医師パターンです。

初期臨床研修医が終わった後は、自分で就職した病院を探し、自分で履歴書を出して、面接を受けて、場合によっては筆記試験も受けて、就職にこぎつける訳です。
リクナビならぬ、レジナビってやつもありますよ。医師の集団就職案内会みたいな感じ。

自分で全ての過程を行う分、給料は高めです。病院側としても、大学医局に払うお布施がないですからね。その分医師の給料に反映されます。

ただ、もちろん病院からクビと言われたら露頭に迷います。
診療実績が不十分な医者はクビを切られる事もあるんです。

”医局に所属している”という事は今でもそれなりの信用に繋がるので、そういう後ろ盾のない就職活動は、やや不安定とも言えます。
もちろん、自分の好きな時に仕事を変われるし、自由と言い換えることもできます。

まぁ、条件の良い病院はたいていどこかの大学の関連病院なんですけどね……。

3.バイト医師パターン

数は少ないですが、こういうフリーターみたいな人たちもいます。
医師って、バイトの方が給料高いんですよ。
普通の勤務医だと、基本給ってそんなに高くないんですよ。たぶん基本給50~80万、高くてもせいぜい100万くらいだと思います。
時間外が大量にあるから、それで給料も上がってるんですよ。
だから、時給換算したら意外と低いんですね。時給5,000円とか、そんなもんじゃないでしょうか。

それがバイトだと、時給10,000~15,000円くらいになるんですよ。
日給10万オーバーにもなります。
内容は、クリニックの外来手伝い、病院の病棟雑務、救急病院の救急車対応とか、いろいろです。

忙しいものもあれば、すごく暇なものもあります。
暇な仕事の代表的なものが、慢性期病院での休日病棟管理や、老人病院の当直です。

入院患者がいる病院は、24時間医師がいないといけないんですよ。
だから、夜間とか、休日はバイト医師を雇っているところがたくさんあります。
でも慢性期病院や老人病院だと、夜や休日はほとんど何も仕事がないところが多いです。
特に何も起こらず、たまに熱が出た入院患者に風邪薬でも処方して、あとは当直室で寝てたり、ゲームをしたりして、時給10,000~15,000円です。

おいしいですよね。

もちろん、フリーターなので保険関係は自分でしないといけないし、病気でもすれば如実に収入が下がります。
一部の例外を除けばキャリアにはならないし、自分のスキルアップにも繋がりません。
かなり不安定な道ですね。

ただ、月10日働くだけで月収100万というのは、夢がありますね。



こんな感じですかね。
地域によって違いはあるとは思いますが、大筋は間違ってないと思います。
また何か思いついたら書いてみます。