不良精神科医が考えていること

30代精神科医が、匿名でしか言えないことをつらつらと書きます

なぜ精神科医になったのか

大学に入って驚いた事があります。
皆、志が高いんですよ。
飲み会でも、地域医療とか、救急医療について結構熱く語る訳です。
酔っ払ってもそうやって話すから、きっと本心だったんだろうなぁ。

僕はと言うと、特に医学部志望だった訳でもなく、諸般の事情でそのように仕向けられ、幸いにも人より若干記憶力が良かったようで、地方国立医学部に滑り込みました。

そんな感じなので周りと若干の温度差を感じつつ、6年間を過ごしました。
と言っても、同じ学年で100人前後はいたので、僕と同じような考え方を持った者もいて、自然とそういうグループで集まりました。
そんな彼らが今どうなっているかと言うと、僕と同じく精神科に進んだ奴や、美容形成に進んだ奴、怪しげなクリニックの雇われ院長をしている奴、麻酔科に進んだ奴なんかがいます。
まぁ、皆同じような事を考えてるんでしょうね。

僕は、もちろん精神医学に興味がありました。それは事実です。
未だ解明されていない部分も多く、他の身体疾患のように画像診断や、何かしらの基準値を持った検査で診断できる訳じゃありません。ほとんどが”操作的診断基準”ってやつです。操作的診断基準については、今後書くこともあるかもしれません。
なぜ人は精神疾患で別人のようになってしまうのか、そういうところにもロマンを感じますね。

こういう、知的興味が半分。

もう半分はやっぱりワークライフバランスですよ。
医師は確かに平均年収よりずっと高い収入が得られるんですが、決して金持ちではありません。
これは重要な事です。
あえてきつい言い方をしますが、平均年収付近のコミュニティで生活している人なら、医師の年収1500万円前後というのは、かなりの金持ちと思われるかもしれません。
ただ、月並みではありますが、手取りにするとかなり減りますし、平均より年収が高い分、ついつい生活水準も上がってしまいがちです。
医師の年収で、平均年収のような生活をしていれば、当然アホみたいに金は貯まるでしょう。
でも人間、そうはいかないんですよ。
この辺の話は長くなるのでこの辺で……。

とにかく、そこまで金持ちじゃないのに、あんなに昼夜問わず働かせられる医師は異常だと言う事です。
それを何も考えずに受け入れてる医師はただのアホです。(※崇高な志を持った医師はもちろん除く)

昔の偉い医師の言葉にこんなのがあります。
「医師はそれを志した時点で、その体は自らのものではなく、病める人のためのものだ」

僕の一番嫌いな言葉です。

医師だろうがなんだろうが、自分の人生が第一ですよ。
精神科は、その辺りのバランスが優れていました。

もちろん、診療に最大限の努力はしていますよ。仕事ですから。
でも、時間外労働は基本的にしません。時間内に仕事を終わらせるからです。
時間内に終わらせられるのも、精神科だからだと思いますよ。内科や外科では、本人の能力がどんなに高くても、難しい場合もあるでしょう。

この辺の話も、キリがないのでこの辺で……。

というような感じで、あくまで仕事として精神科医をやっています。
僕にとってのワークライフバランス、そして知的興味がいい具合にマッチしたのが、精神科だったのです。
そんなこんなで、精神科やその他医師のこと、他にも身の回りのことをいろいろと思いつくままに書いていきます。
職場では言えないようなこと、友人の前でも言えないようなことも、この匿名の場で吐き出すことで僕のストレスコーピングにしたいですね。



誤解のないように言っておくと、もちろん診療のために常に勉強しているし、仕事の時は全力ですよ。
給料貰っている以上、僕の最大限を発揮しないといけませんからね。
幸いな事に、評判も悪くはないようです。